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前頭筋吊り上げ術とは?
生まれつき眼瞼挙筋が欠損しているためにまぶたを開けにくい状態を先天性眼瞼下垂症と言います。
まぶたを開けるという動作は、主として眼瞼挙筋が担い、これにミューラー筋や前頭筋が補助的に働いて行われます。そのため、眼瞼挙筋がほとんど機能していない状態であっても、全く完全にまぶたが開かないということはありませんが、著しくまぶたを開けにくい状態になります。普通にまぶたを開けても瞳孔がまぶたで覆い隠されてしまうので、自然とあごを突き出して下目使いで見るようになります。
このような場合に前頭筋吊り上げ術を選択します。この手術では大腿筋膜を利用して瞼板と前頭筋を接続します。これにより額の筋肉(前頭筋)を使って開瞼させるようにすることができます。
この施術の適応となる方
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- 先天性(生まれつき)の重度の眼瞼下垂の方(挙筋機能がほとんどない方)
施術方法
大腿筋膜採取
事前に膝関節の横あたりから局所麻酔下に大腿筋膜を採取します。このとき同部位の皮膚を数㎝切開します。
デザイン
皮膚切開線をマーキングします。
元々二重まぶたの方はそのラインで、一重まぶたの方はまつ毛より5~7mm上のラインで二重の位置をデザインします。
麻酔
切開部分の皮膚及びまぶたの裏側、に局所麻酔薬を注射していきます。
(極細の注射針で行うので痛みは軽度です。)
手術
- (1) 皮膚切開
デザイン通りに皮膚を切開します。
- (2) トンネルの作成
眼窩隔膜上を上方に剥離していき、大腿筋膜を通すトンネルを作成します。
- (3) 大腿筋膜の固定
大腿筋膜の下端を瞼板に上端を前頭筋と縫合し固定します。術後大腿筋膜が収縮するためこの時点ではまだしっかりまぶたは開きません。
- (4) 重瞼固定
二重のラインをつくるために、重瞼固定を行います。
- (5) 皮膚縫合
最後に皮膚を縫合して手術終了となります。
施術のポイント
手術時間 | 約2時間。 |
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麻酔方法 | 局所麻酔。 |
ダウンタイム | 腫れは2週間程度です。 皮下出血がある場合は2週間程で引きます。 |
日常生活 | 洗顔、シャワーは翌日より可能です。 |
術後の診察 | 5~7日後に抜糸に来ていただきます。 1か月後にまぶたの開き具合のチェックを行います。 |
メリット | 重度の眼瞼下垂症にも適応がある。 |
デメリット | 場合によって再手術を行う可能性がある。 (まぶたの開き具合の左右差などの理由) |
施術を受けられない方
- 妊娠している方、妊娠の可能性のある方、授乳中の方
- 上まぶたに感染性の皮膚疾患のある方
- 血液の凝固を阻害する薬を服用されている方
- ドライアイのある方
– Doctor message –監修ドクターメッセージ
医療法人一美会理事長 竹内孝基
【所属学会】
日本美容外科学会 専門医/日本再生医療学会/日本抗加齢医学会/日本レーザー医学会/日本眼形成再建外科学会
ウルセラ認定医/サーマクール認定医/ミラドライ認定医
【略歴】
平成9年 大阪大学医学部 卒業
平成12年 大塚美容形成外科勤務 金沢院・名古屋院院長を務める
平成22年 医療法人一美会エースクリニックを開院